「あの子の子ども」の登場人物、幸が、税金や光熱費などの必要な出費を突きつけて、「ままごとは楽しいか?」と言う。わたしは、そこで、あえて、憲法第25条をぶつけたい。
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
なんと力強い条文だろうか。
と、そんなことをあえて言うのは、わたしが、まさに孤立した親に育てられ、それゆえの虐待も受け、おおきく人生が壊されたと思ってるからさ。できないことをひた隠しにして孤立した「大人の親」に育てられるされるくらいなら、「こどもの親」でも、たくさんの人の手を借りて育ててくれる方がよっぽどよかったって思いがあるのね。
#あの子の子ども
柏木ハルコ「健康で文化的な最低限度の生活」子どもの貧困編を読んでから、蒼井まもる「あの子の子ども」を読むと、なかなかに考えるものがある。福と宝が孤立しながら追い詰められる未来は見たくないし、ためらわずに多くのひとの手を借りてほしい。これは、望まぬ妊娠をしたすべてのひとに伝えたい。
人がどう思うかはわかりません。
けれども、もし産むのであれば、それなりのビジョンを持っておくことは必要だと思います。
つまり、仮に産むとした場合―…
子育てに当たって、人の手をどのように借りていくか―――――…
別に…
借りないし。
いえ、それでは無理です!借りて下さい!
それは「迷惑」ではありません!
――――――――
人の手を借りて、
利用できるサービスもしっかり利用して!
いつでも
周囲の助けを求められるように、
しんどい時は
すぐSOSを出せるように―…
そういう覚悟を…
我々も……
佐野さん自身も持っておく必要があります!
―柏木ハルコ「健康で文化的な最低限度の生活」第8集、小学館、2019年。
「あの子の子ども」をパルシィでパラパラ見る。「普通の高校」なる概念を巡ってあれこれ交錯するものを描いていてよかった。理念上は「全定同一」なんだけど、現実にはかならずしもそうではなくて、全日制以外の課程の高校に在学することがスティグマのように扱われることさえあって。またそれを前提に「進路変更」の指導をしたりする教員もいるんだけど。
蒼井まもるさんは、とても丁寧に、「普通の高校」を巡る交錯したまなざしを、生徒の側から描いてくれた。かつて、「普通=全日制の高校」を諦めなければならなかったわたしにはとても刺さった。
#あの子の子ども #高校 #通信制高校 #教育
「あの子の子ども」は、全日制課程の高校生が主役だけど、定時制課程や通信制課程の高校生、あるいは10代後半であっても高校に在学していない女性は、妊娠したらどのような困難を抱えることになるのだろう。ふと気になった。
#あの子の子ども