岩波『図書』5月号、丘沢静也著「レッテルXの話」を読む。ドイツの文芸評論家マルツェル・ライヒ=ラニツキから読まれずに無視されてきたエンデ自身は、児童文学の作家と呼ばれることに抵抗があったという。丘沢氏は、作家や作品に対して貼られているレッテルをもとに接すると、それ以外のものを見落としてしまうという。子ども向けの童話に手直しされてしまった“グリム童話”や、“宗教思想家”たるカフカに対するレッテルの例を挙げ、『モモ』を書いたエンデの民話、すなわちおもしろくてタメになるお説教=時間泥棒のことが好きで、丘沢氏はこれを最良の小説ととらえている。
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