『 #ドグラ・マグラ 』における作者のメッセージは、「人類は誰もがみな狂気をはらんでいる」ということなのかもしれません。
この #小説 は、当時は本気で議論され信じ込まれていたような、例えば優生思想や生来犯罪者説のような、いまでいえばエセ科学に基づいています。そのうえで、おそらく作者は、その「科学」への懐疑を含めて書いたのでしょう。
現在ではそれらの思想はほぼ完全否定されていますから、この作品の意義は薄くなって、無理に読む必要はないかもしれません。ただ、ホロコーストなどを正当化した危険な思想、人間のエゴの「自分こそが正しくて他者は劣っている」と決めつけがちな性向については、現在でも批判的でなければなりません。
ネタバレになるので私の考察はここには書きませんが、「思考(記憶)は脳で行うものではない」という作品世界の設定を前提にすれば、解釈がたつと思います。この小説は、SF・オカルトなミステリー小説です。