沖縄の名作ファミリー漫画「ホテル・ハイビスカス」。
以前ご紹介した新潮社版は、1980年代の作品でした。
こちらはその後の97年から描かれ、沖縄の出版社・ボーダーインクより刊行された4巻です。
やんちゃな小学生・みえこと、”インターナショナル”な家族達が、さらにパワーアップして大活躍!
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心温まるホームドラマの中には、沖縄ならではの様々な事柄が織り込まれています。
キジムナーや石敢當・旧盆などの、伝承や信仰。
方言札や具志堅用高さんの活躍など、沖縄の近・現代史のエピソード。
そして沖縄戦や米軍基地、米軍人と沖縄人との間に生まれた子ども達の事も。
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前作同様、作者は沖縄の”明るさ”だけを描くのではなく、過去に受けた痛みや現在も続く苦しみから目を逸らしません。
そしてそれに向き合う人々の暖かな言葉や、勇気ある行動を通して、著者の想いを示していきます。
描かれた一コマ一コマから放たれるメッセージは、今こそ私達が耳を傾けるべきものばかりです。
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こちらはコミック「ホテル・ハイビスカス(新装版)」。
オリジナルは1980年代に刊行、2002年に中江裕司監督により映画化された際に再刊された物。
沖縄で小さなホテルを営む家族のホームドラマで、元気一杯の小学生・みえこを中心に、宿泊客や村人達を交えた日常が明るく描かれます。
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“明るく”と言っても、沖縄にある様々な社会問題を作者は無視してはいません。
みえこの兄・姉はそれぞれ別の父(米国人の黒人・白人)を持ち、またみえこの実父(沖縄人)は国籍が無く就職できない…などの事情が。
また米軍基地や沖縄戦の戦跡も、暮らしのすぐ側にあります。
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しかし作者はそれらの問題を声高に糾弾したり、加害性を表には出しません。
家族それぞれが時に悩みながらも、みな笑顔になり、逞しく生きています。
ただ読者には、この状況の背景に何があるのか、沖縄の過去に何があったのかを考えてほしい…そんな作者の想いが、明るさの奥から伝わる名作です。
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