3/21 No.34
言葉は胸いっぱいに溢《あふ》れている、けれどこんどはなにか云えば泣きだしそうだった、それでぎゅっと唇を噛《か》みしめていた。
「春いくたび」山本周五郎
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筆ペンの調子が悪い。少し洗わないと。
3/20 No.33
道は桑畑のあいだを緩い勾配《こうばい》で下って行く、桑の木はまだ裸であるが、もう間もなく芽をふくのだろう、水気を含んだ枝々の尖《さき》は柔らかくふくらんで、青みのさした樹皮には、霧の微粒子が美しく珠を綴《つづ》っていた。
少年はときどき立止りながら道を急いだ。
「春いくたび」山本周五郎
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本日から、「春いくたび」です。
ぼんやりしてたら筆ペンで誤字。旅行の疲れが残っている感じで集中力が薄いです。
3/17 No.32
律之助は窓の外を見ていた。雨の三十間堀へ、苫《とま》を掛けた伝馬船が一艘、ゆっくりと入って来るのが見えた。
「しじみ河岸」山本周五郎
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しじみ河岸、終わりです。
苦いものが残る終わり方が多い山本周五郎先生ですが、「人生」って感じがして、この苦さが好きです。
3/16 No.31
お父つぁんや直が、安楽に暮してゆけるなら、自分はどうなってもいい、卯之さんは死んじまったし、生きていたってしようがない、生きているはりあいもないし、もう躯も続かない、なんでもいいから休みたい、手足を伸ばして、ゆっくり、いちど休めたら、それでもう死んでもいいと思ったんです。
「しじみ河岸」山本周五郎
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疲れきってしまったお絹の話。
3/16 No.31
お父つぁんや直が、安楽に暮してゆけるなら、自分はどうなってもいい、卯之さんは死んじまったし、生きていたってしようがない、生きているはりあいもないし、もう躯も続かない、なんでもいいから休みたい、手足を伸ばして、ゆっくり、いちど休めたら、それでもう死んでもいいと思ったんです。
「しじみ河岸」山本周五郎
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疲れきってしまったお絹の話。
3/14 No.30
それはいたましいほど直截《ちょくさい》に、苦痛と恐怖感をあらわしていた。
「しじみ河岸」山本周五郎
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直截って自分で書いたことないなあ。
3/13 No.29
はがね色によどんだ堀の水面が、やみまもなく降る雨粒のために、無数のこまかい輪を描き、そして陰鬱な灰色にけぶっていた。
「しじみ河岸」山本周五郎
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河岸から眺める水の表現が素敵ですよねえ。
3/12 No.28
律之助は絶句した。伊与吉の仮面のように無表情な顔と、その水のように無感動な反問とは、殆んど絶望的に、人をよせつけないものであった。
「しじみ河岸」山本周五郎
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伊与吉は被害者のお父さんですね。聞き込みをしていますが、全然誰も何も話してくれません。
3/11 No.27
女はなにも云わなかった。三人とも黙っていたが、手で触れるほどはっきりと、敵意が感じられた。本能的で、あからさまな敵意だった。
「しじみ河岸」山本周五郎
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足で情報を稼ぎに行ったらいきなり頓挫する吟味役。
3/10 No.26
それは荒れ朽ちた周囲のけしきの中で、いかにも際立って重おもしく、威圧的にみえた。
「しじみ河岸」山本周五郎
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せっかく午前休なので時間を有効活用。最近忙しかったしちょうどいいかな。
今日午前までの仕事をなんとなく気が向いて昨日のうちに終わらせておいたのは、虫の知らせ的なやつかしらねえ。
3/9 No.25
お絹の緊張した顔に、一瞬、やすらぎと安堵《あんど》の色があらわれた。
「しじみ河岸」山本周五郎
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今日は短め。短いと逆に緊張する。
3/8 No.24
しかしお絹は、どう無理かということは、話しても旦那方にはわかってもらえないだろう、自分は覚悟をきめているから、もうなにも訊かないで早くお仕置にしてもらいたい。
「しじみ河岸」山本周五郎
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長いな、と思ってことあとの「そう繰り返すばかりであった。」を抜いたら主語と述語が生き別れになってしまったw
3/7 No.23
「それでよければ、考えてみよう、但しできるかどうかは保証しないぜ」
律之助は安心したように頷《うなず》いた。
「しじみ河岸」山本周五郎
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本日から「しじみ河岸」です。時代推理小説。律之助は吟味役、つまり刑事です。
3/6 No.22
おたよ[#「たよ」に傍点]は明るく笑って、劬るように良人を見上げながら、巧みに彼の口まねをした。
「雨あがる」山本周五郎
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雨あがる、おしまいです。
始めた日も終わる日も雨で、なんとなく縁がありました。
3/5 No.21
峠の上へ出て、幕でも切って落したように、眼の下にとつぜん隣国の山野がうちひらけ、爽やかな風が吹きあげて来ると、彼はぱっと顔を輝かして、「やあやあ」と叫びだした。
「雨あがる」山本周五郎
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ぼんやり書いてたらとんでもない誤字してたw
こういう「読んでる人の視界も一緒に開ける」ような文章を書けるようになりたいです。
書写、文字書きにも有用だなあ。
3/4 No. 20
「はい、やめます、そして貴方にだけ申上げますわ」おたよは向き直り、声をふるわせて云った――、「これからは、貴方がお望みなさるときに、いつでも賭け試合をなすって下さい、そしてまわりの者みんな、貧しい、頼りのない、気の毒な方たちを喜ばせてあげて下さいまし」
彼女の言葉は嗚咽《おえつ》のために消えた。
「雨あがる」山本周五郎
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また母に「長い」って言われそうですが長めのお題です。
3/2 No.19
久しぶりで充分に腕だめしをして、彼の全身は爽快《そうかい》な疲れと満足に溢《あふ》れていた。そのうえ仕官の望みは九分どおり確実である。これまでの例があるから、妻は信じようとしないし、できるだけそのことに触れたくないようであるが、伊兵衛としてはそれが哀れであり、どうかして(断言はせずに)少しでも安心させてやりたいと願わずにはいられなかった。
「雨あがる」山本周五郎
https://www.aozora.gr.jp/cards/001869/card57583.html
昨日書けなかったので本日は長めのお題。