ケイコ 目を澄ませて
https://www.youtube.com/watch?v=xqH1sTg5w1k
公開時に観に行けず、アマプラでの配信が始まってから毎日のように繰り返し観ていた。都内で1館だけ上映されているのを知り、今日観に行ってきた。
ろう者のボクサーの物語、ではあるのだが、そんな物語的前提などどうでもよくなってしまうくらい、(日本)映画的な情感と行間の説得力、映像の美しさに全編通して圧倒される。岸井ゆきの演じるケイコが、もうケイコ本人にしか見えない。各俳優が演技を超えてそこに存在している。そこになんとも言えない(触感に似た)温かみと懐かしさを感じる。
この映画には劇伴が一切ないのだが、劇中に挟まれる自然音、ボクシングジムや試合で発生する音などが、音楽よりも音楽的であり、この映画におけるリズムを作り出している。それは、後期の坂本龍一が目指した音楽的到達点にも非常に近い。文字通り、目を済ませて何度も聴きたくなる。