絵柄は沖縄の風物がモチーフなのに、金額は¢(セント)で記された不思議な切手。
それは戦後の米軍統治下、ドルが使われていた頃の沖縄で発行された”琉球切手”です。
「琉球切手を旅する」(2022年刊)は、この独特な切手を手がかりに、沖縄の戦後の足跡を追うノンフィクション。
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切手の絵を描いた美術家や、描かれたモデルへの取材からは、米軍の”離日政策”や、伝統芸能復興の苦労が見えてきます。
また様々な記念切手から紐解かれるのは、琉球政府発足・島ぐるみ闘争・復帰運動など激動の社会情勢。
切手は時代を映す鏡でもあったのです。
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著者は、沖縄の文化や人物をテーマに、これまでも多くのノンフィクションを書いてきた与那原恵氏。
その父母が若き日に交わした恋文、また故郷沖縄から南米移民達への手紙を運んだのも、琉球切手でした。
小さな切手を巡る様々なドラマが、氏の筆により鮮やかに浮かび上がります。
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こちらは昨年刊行された、沖縄の食文化に関する本。
いずれも過去の名著を文庫化/再編した、良書ばかりです。
中でも筆頭は「料理沖縄物語」!
大正の首里生まれのモダン・ボーイ・古波蔵保好氏による、沖縄料理の名エッセイ。
単行本(1983)・文庫(1990)とも希少だったので、嬉しい再刊です。
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「わたぶんぶん」は、保好氏の大姪にあたるノンフィクション作家・与那原恵氏による、沖縄の食や人にまつわる優しいエッセイ。
「沖縄の食文化」は、沖縄古典文学の研究者・外間守善氏による、沖縄食文化論。
琉球の歴史や宮廷文化などの切り口から、沖縄の料理や食材を解説します。
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「おいしい沖縄」は、著名な作家24名によるエッセイを集めた本。
もちろんテーマは沖縄の食。
向田邦子や岡本太郎から志茂田景樹まで、県外の作家が沖縄の料理に触れて何を感じ、語るのか。
また沖縄出身作家との比較も興味深い、編集の妙味ある一冊です。
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