【国宝「序の舞」 二分割②】
松園の作品は、能に題材を求めた系列と母性を主題とした作品の二系統が中心をなし、前者では「焔」(大正七年)、「序の舞」(昭和十一年)、「草紙洗小町【そうしあらいこまち】」(同十二年)、「砧【きぬた】」(同十三年)があり、後者には「母子」「青眉【せいび】」(ともに昭和九年)、「夕暮」(同十六年)、「晩秋」(同十八年)等が挙げられ、いずれも松園の代表作といえる。「序の舞」は文部省招待展に出品され、完成度・格調ともに優れて世評高く、政府買い上げとなった作品で、現代の令嬢が謡曲を舞う姿を描いている。他の謡曲ものと異なり、特定の文学的主題に沿うのではなく、同時代の風俗をもって古格を有する作品を描いた点に、「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願」(『青眉抄』)とした、松園作品の特質が典型的に現れているといえよう。作者自身が「優美なうちにも毅然として犯しがたい女性の気品をかいた」(同前)と自負しているように、松園芸術を代表する作といってよい
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【国宝「序の舞」 二分割①】
上村松園【うえむらしょうえん】(一八七五-一九四九年)は明治二十年京都府画学校に入学し、鈴木松年塾に入り、明治二十三年一六歳で第三回内国勧業博覧会に出品した「四季美人図」が一等褒状となるなど、早くから頭角を現した。以後、幸野楳嶺、さらに竹内栖鳳の許で研鑚を積んだが、生涯一貫して美人画を描き続けた。円山【まるやま】・四条派【しじょうは】を出発点としながら、平安時代に遡るやまと絵から浮世絵に至る古典をも研究し、伝統的日本画技法を遵守しつつ、格調高い人物画の創出に努めた。風俗に取材してはいても、品格ある深い芸術性をもつた完成度の高い制作を行い、独自の芸術を開拓した。その作風は線描主体の厳格な形態と計算された色彩美という特徴をもち、ときに新古典主義的とも称される。生前より評価は高く、昭和十六年に帝国芸術院会員に任命され、同十九年に帝室技芸員、同二十三年には女性として初めて文化勲章を受章している。
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