Mr. Absentia 🍀 · @mr_absentia
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今の日本で《修身》と言えば,儒教的,封建主義的,軍国主義的教育の代名詞といったところでしょうが,元々この語は明治のはじめ,福沢諭吉など慶應義塾のひとたちが19世紀米国の道徳論 moral science から創った翻訳語です。当時の米国ではフランシス・ウェイランドの道徳教科書 The Elements of Moral Science が広く読まれていたようで,福沢諭吉が教材に用いたのも恐らくこの書であろうと推察されます。実学偏重だった幕末明治の洋学者の中にあって,儒仏の旧弊を一掃すべく,西欧近代的な徳育の必要性を強く感じていたのでしょう。

📖 hup.harvard.edu/catalog.php?is

これが公的な学校教育に採用されるに及んで《修身》という語が著しく権威主義的,国家主義的色彩を帯びるに至ったことは確かだとしても,道徳教育を一律に反動視してきた日本の「戦後教育」はこれまた極端に過ぎないか? 元々《修身》なる語が「文明開化」すなわち西欧的近代化の所産。このいわば福沢パラダイムを超える教育理念を日本の護憲リベラルが有しているのか疑問です。

#読書 #福沢諭吉 #修身 #道徳教育

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