#冷笑主義 を考えるならシノペのディオゲネスは欠かせない。彼は貨幣の正義を通過変造で損ない、追放された。狂ったソクラテスというディオゲネスのあだ名は彼の通貨変造的活動が、賢さという正義を否定したアテネのソクラテスの活動と類似しているから付けられた。もちろんディオゲネスはソクラテスから影響を受けているだろう。ソクラテスは笑わないがソクラテスもまたディオゲネスと同じように冷笑的な哲学者である。
では、なぜソクラテスはのちに若者を堕落させた罪で死刑判決を受けるまでに、賢いとされる人を否定したのか? それは三十人僭主後のアテネで民主派による糾弾が吹き荒れたから。ソクラテスはその糾弾に反発すべく糾弾する側の正義を解体しようとした。
正義を解体するためにソクラテスが使った冷笑のための武器が、アテネ版「それってあなたの感想ですよね」である無知の知だった。
#冷笑主義 を考えるならシノペのディオゲネスは外せない。彼は通貨変造で貨幣の正義を損ない追放された哲学者だった。狂ったソクラテスという彼のあだ名は彼の通貨変造的活動が、無知の知を使って賢い人という正義を嘲弄した #ソクラテス の活動と類似しているからそう呼ばれた。ちなみに狂ったソクラテスは問われていないが、ソクラテスは無名の若者たちを堕落(煽動)させた罪に問われた。
一方で #ひろゆき は交通違反切符をもみ消す活動で警察という正義を嘲弄し、2chで匿名の群衆(マルチチュード)のことばを集積させた。革命の大義や正義にからめとられることを拒否する、意図や自己表現をしない、1968年以降の或る政治的な活動とひろゆきの活動との共通点は多い。
アテネで正義に基づく苛烈な糾弾があったからこそ正義を脱構築するソクラテスが現れたように、ポリティカル・コレクトネスに基づく糾弾があったからこそ、それを冷笑し脱構築する運動が現れた。
つまり令和の冷笑主義は令和のソクラテスであり、政治的な大義や正義といった大きな物語(東浩紀)を拒絶するポストモダン運動の末裔である。