こちら「まぼろしの祖国」(1978)は、沖縄の芥川賞作家・大城立裕氏の長編小説。
時代設定は戦後、米軍の沖縄統治が始まる1945年から、日本復帰を迎える1972年まで。
この沖縄激動の時代を、2段組600ページを超えるボリュームで描いた超大作です。
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登場人物は、辻遊廓出身の母とその息子・日本への留学生・スクラップ業社・元”戦果あぎやー”の警官など様々。
沖縄と日本・アメリカの狭間で翻弄され、アイデンティティに悩み、時代の波に抗う人々。
骨太のドラマを通して、沖縄だけが経験した複雑で巨大な”戦後史”の姿が立ち現れます。
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日本復帰から50年を迎えた今年は、朝ドラなど様々なメディアが戦中〜戦後の沖縄を取り上げました。
しかし多くは”箱の外側”をなぞるだけで、その中身に深く切り込んだものはわずかでした。
「沖縄人の口惜しさが、日本人全体の口惜しさになりえているか」
後書きの作者の言葉が、今も重く響きます。
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