小野啓さんの「NEW TEXT」が魅力的なのは、すぐに過去になってしまう「今」を撮っているからか。モデルになっているひとの高校時代もすぐに過去になってしまうし、モデルになった皆さんの「今風の高校生の装い」もすぐに過去になってしまう。
#小野啓
この間、地下鉄博物館と小野啓さんの写真展を同じ日に行って実感したこと。「いま」は、気づかないままに過去になる。営団地下鉄のSマーク、昔は東京のあちこちで当たり前の風景だったのに、今では博物館の収蔵品。小野啓さんの写真は高校生のポートレートなんだけど、やや時代を感じた。写真集「青い光」「NEW TEXT」を見るともっと時代を感じる。当時は「今風」だと感じていたはずの高校生の装いが、今見ると過去の装いになっている。展示されている写真の中で唯一、東日本大震災で大きく被災したビルの中で撮影された写真は「いま」を感じさせたが、その作品だって、あと20年もすれば、博物館で見るような「過去」になってしまう。
気がついたら、高校生は半袖のワイシャツを着なくなってたし、それどころかポロシャツに明るい色のハーフパンツが高校生の夏の装いになるかもしれない。
#小野啓 #写真 #写真展
小野啓さんの「NEW TEXT」と「青い光」は、今がすぐに昔になってしまうことをよく表した写真集だ。高校生の「今」を撮影した写真家として小野啓さんはおそらく最も優れた写真家だ。
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