『黄色い家』川上未映子
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お金のもたらす狂気が、1990年代の空気感も相俟って、圧倒的に読み手に襲って来ます。特に、思考に行き詰まった主人公の畳み掛けるような自己問答には、並ならぬ切迫感が漂っています。一方で、何事も過ぎ去るのをのんびりと待っているような黄美子の頼りない姿が、対照的に頼もしくも見えて来ます。そして、登場人物たちの姿を見ながら、大した労苦もなく(今のところ)「まともな」生き方をできてしまっていることの有り難さも感じました。
600ページの大作ですが、緊張感のある文体に引き込まれたまま、猛烈な勢いで読んでしまいました。
[2023/06/30 #読書 #黄色い家 #川上未映子 #中央公論新社 ]
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「書きつづけたいと思う魂に生まれついた」川上未映子の「エクストリームで個人的なものとしての文学」
https://gendai.media/articles/-/109683?imp=0
#川上未映子 #日本文学 #小説家
暫く前から川上未映子に熱中している。
どの作品にも或る種の衝撃を受けることが多く、凄い力で引き摺られるように読み進み、読了後にはちょっとした放心状態になる。
今、ちょうど『シャンデリア』を読み終えて、いささか興奮気味でいるところ。
海外の友人は判で押したように「ハルキ ムラカミをどう思うか」と訊くが、むしろ「ミエコ カワカミを読め」と言いたい。
いや、次からは実際にそう激推ししよう。
近所のマダムがベランダにみえたので手を振って挨拶をした。「お出掛け?本を読みに?」と言われて、今日は美容室♪と答えてから、自分でちょっと笑う。
私が駅前のカフェでコーヒーを飲みながら本を読んでいる姿についての目撃情報が多く寄せられておりまして。ばこさん=駅前カフェで本を読む女 が町内で定着しつつあるようで面白い。
さてさて、今日は読み始めたばかりの川上未映子『ウィステリアと三人の女たち』を手に出掛けてきましょうかね。