びっくり。戦前の『少年文學集』という本(改造社1928年刊)を読んでいたら,かの幸田露伴が「番茶會談」という1911(明治44)年の小説の中で,ニコラ・テスラの自由エネルギーの構想をとりあげているのを発見。作品は,読書好きの少年たちの一団を相手に,作者の分身とおぼしき隠者風の老人が種々の雑学を開陳しつつ「少年よ大志を抱け」的な話を語って聞かせるものですが,その中で老人は「無線電力輸送」について,無線電信と違って技術的に極めて困難としつつも,もし可能になれば,
《動力が非常に廉價で供給されることになるから,工業でも農業でも水陸の運輸でも,何でもが非常に容易になつて,而して世界の狀態が大變化を遂げるに至るだらう》
と語り,この構想を抱く発明家テスラを《英雄の氣象である》と称讃します。日本の小説家でこんな話題に興味を示すのは一部のSF作家ぐらいのものなのでは? この点,幸田露伴の作品には未発掘の鉱脈が数多くありそうですが,文体や教養が現代とかけ離れているし,今どき誰も読まないか…。
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