『極道の妻たち 三代目姐』
女性の描き方がほんとうに良くなくて眉間にしわが寄ってしまう。
まず「姐」の人物像、姐としての風格も威厳もない。泰然として、いっときの感情に流れることなく冷静沈着でカリスマがなければ「この人にはかなわない」と1万5千人の舎弟はひれ伏さないだろうに、
三田佳子は感情あらわに泣き叫び、動揺し、激怒して女性をビンタする。かっこ良くないし、こんな人に「ついていきたい」とは思わない。
もう一点は、第一作と同じで強姦被害者が加害者に恋するという論外のファンタジーが再び展開されること。少なくとも現代の観客は到底受け入れないだろうし、脚本が完全に昭和の男性目線でしかない。
さらには、かたせ梨乃の君島十和子への怒り&暴力は早とちり過ぎるし、こうした「女ってどうせこういう短絡的な反応してぎゃあぎゃあ暴力振るうんだろ」みたいに楽しむシーンは「シスターフッドを分断して楽しむ」男性の悪趣味な目線だ。
常識的に考えて接見禁止になるだろうに、三田佳子がフツーに接見できてしまう点には「ハァ?」としらける。弁護士が自筆証書遺言を妻・三田佳子に手渡そうとしたり、自筆証書遺言の検認手続き踏んでるとは思えない点は言わずもがな。
ほんとに、良くない。
「極道の妻たち」、第1作目の岩下志麻の神々しさに、心がひれ伏してしまう。
男女雇用機会均等法が制定された時代の空気も分かる。「女って強いなぁ、男ってダメだなぁ」とひたすら思える。
でもマコトが杉田からレイプされたり銃で脅されたりさんざんな目にあった末に、杉田を好きになるっていう展開はほん「男の妄想の産物」でしかなくイヤすぎる。マコトには、ぜひメッタ刺ししてほしかった。ここは子どもたちも眉をひそめて、この作品の登場人物の中で一番キライなヤツだと言っていた。
杉田とマコトの結婚式(?)ぽいところで舎弟たちが次々にマコトに自己紹介する場面、ああいう決まり文句的なフレーズは、現実の極道の世界「あるある」なのだろうか??吹き出してしまったのだが。
見終わって思うのは、月並みだけど、ほんと暴力反対!