絵柄は沖縄の風物がモチーフなのに、金額は¢(セント)で記された不思議な切手。
それは戦後の米軍統治下、ドルが使われていた頃の沖縄で発行された”琉球切手”です。
「琉球切手を旅する」(2022年刊)は、この独特な切手を手がかりに、沖縄の戦後の足跡を追うノンフィクション。
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切手の絵を描いた美術家や、描かれたモデルへの取材からは、米軍の”離日政策”や、伝統芸能復興の苦労が見えてきます。
また様々な記念切手から紐解かれるのは、琉球政府発足・島ぐるみ闘争・復帰運動など激動の社会情勢。
切手は時代を映す鏡でもあったのです。
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著者は、沖縄の文化や人物をテーマに、これまでも多くのノンフィクションを書いてきた与那原恵氏。
その父母が若き日に交わした恋文、また故郷沖縄から南米移民達への手紙を運んだのも、琉球切手でした。
小さな切手を巡る様々なドラマが、氏の筆により鮮やかに浮かび上がります。
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