『冬の光』篠田節子
長年の不倫が発覚した故に妻や長女から冷遇されていた父は、出世コースを外れ早期退職を余儀なくされ、その矢先に起きた東日本大震災でボランティア活動に明け暮れ、その後に向かった四国遍路の帰路にフェリーから入水自殺してしまいます。しかしどこか腑に落ちない次女は、遺品整理中に見付けた父の手帳に遍路の旅程が記されているのを発見し、休暇を利用して父の遍路の足跡を辿ることにするのです。次第に明らかになって来るのは、単なる浮気とは片付けられない父と女性との単純ならざる関係と、父の最期の心の内でした。
父の生きてきた遍歴の時系列と、次女の追跡の旅の時系列を、行ったり来たりしながら、物語は進展します。
学生運動の最盛期を過ごした若き日の父が出会った、エキセントリックな女性。サラリーマンとして謂わば日和った父に対し、女性は攻撃的なまでに自身の信念の道を邁進します。父と女性との関係は、最終的にはあくまでも不倫であって褒められたものでは決してないです。それでも、父にとっての…
[2023/01/19 #読書 #冬の光 #篠田節子 #文藝春秋 ]
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