収蔵作品のご紹介:ミルフィオリ・グラス・ミニチュア家具
(ヴェネチア)
鮮やかな色彩のガラス片を熔着して制作された椅子、テーブル、ソファー、キャビネット、柱時計が一式となっているミニチュアの家具。熱したガラスの柔らかさを活かした曲線的なフォルムで、手のひらサイズの大きさにも関わらず、細部の装飾に至るまで精巧に作られている。
収蔵作品のご紹介:レース・グラス・ワイングラス
(17世紀|ヴェネチアまたはファソン・ド・ヴェニス)
2種類の異なったパターンのレース棒を交互に並べて熔着し、イタリア語でレトルティと呼ばれる模様に仕上げられたワイングラスである。ステムには、ひねりを加えた装飾が施され、美しい円錐形の坏身と台をつないでいる。
収蔵作品のご紹介:花装飾脚大坏
(19世紀|ヴェネチア)
クリスタッロと呼ばれる無色透明なガラスを引き伸ばして作られたゴブレットで、脚部には龍を連想させる飾りと青色、黄色、ピンク色の色ガラスで作られた三輪の小花が熔着装飾されている。ルネサンス以降、ヨーロッパの上流階級を背景に発展を遂げたヴェネチアのガラス産業は、他のガラス産地の台頭や、ヴェネチア共和国の解体、ムラーノ島のガラス職人組合の解散などを理由に、18世紀頃から衰運の一途を辿り始めた。そこでガラス職人達は、先人達が残した伝統技術を研究し、新しい試みや改良を加えることで、時代の流れに即応したガラス作品を生み出していった。本作品は、そのような動向の中で生み出されたゴブレットである。
収蔵作品のご紹介:三つ口香水瓶
(18世紀後半|ロシア)
ロシア皇帝エカテリーナ2世(在位1762~1796)のために作られたこの豪華絢爛たる三つ口の黄金瑪瑙製の香水瓶には、中央部分の七宝帯文中に、謎めいた銘文が記入されている。「VOTREAMITTE ‘FAIT MA SEULFELICITE(あなたの愛は、私だけの至福を生む)」という銘文。「あなたと私」とは一体誰であったのだろうか。エカテリーナ2世の夫は、歴史上、かの有名なピョートル大帝(在位1682~1725)の孫ピョートル3世(1728~1762=暗殺される)であった。本来ならば帝位を継ぐべき筈であった夫が暗殺に遭い、その夫に代わって帝位についたエカテリーナ2世に、ピョートル3世が生前に贈った祝福の香水瓶であったのではなかっただろうか。三つの香水瓶を合わせて一体に作った三つ口香水瓶のそれぞれに、エカテリーナ2世の愛した香水が、ピョートル3世の愛とともに一杯注がれたにちがいない。
収蔵作品のご紹介:ガラス熔着装飾瓶
(6-8世紀|出土地:シリア)
5世紀に西ローマ帝国が崩壊すると、東地中海のガラス製造技術の水準は徐々に低下していく。装飾の多様性が失われていくローマン・グラスの中で最も頻繁に使用された装飾が、ガラスの粘着性を利用して紐状のガラスを容器に装飾した紐装飾や貼付装飾である。ローマ帝国の支配下にあったシリアでは、水差しの首やコップに紐を一重に巻いたものや、紐装飾を把手のように施した壺等が多く制作された。632年以降は次第にイスラム的装飾様式が主流となる。
収蔵作品のご紹介:黒絵式片手付香油瓶
(紀元前6世紀|出土地:ギリシア)
ギリシア土器は、表面に絵付けされる形式によって、時代順に幾何学様式時代(前10~8世紀)、オリエント様式時代(前8~7世紀)、黒絵式様式時代(前6世紀)、赤絵式様式時代(前5~4世紀)などに時代区分されている。この作品は鱗文が黒く絵付けされている。鍔広の口と把手は古代ギリシアの香油瓶の典型的な形式である。
収蔵作品のご紹介:イスラム・グラス薔薇水撒水瓶
(11~12世紀|イラン)
頸の付け根に熔着装飾が施された長頸瓶。このような器の多くは、薔薇から抽出した精油と水を混合した薔薇水を入れて、撒水する為に使用された。薔薇水は貴重な芳香水として、イスラム地域からアジアや西欧諸国に広まっていった。
収蔵作品のご紹介:コア・グラス両手付香油瓶
(紀元前2世紀~紀元後1世紀頃|出土地:エジプト)
砂や耐火粘土等をコア(芯)として、熔けたガラスを巻きつけて装飾する「コア・テクニック」による香油瓶。コア・テクニックとは、最古のガラス器制作技法の一つである。エジプトでは紀元前15世紀後半にガラス製造が始まり、当時は金と比較される程高価なものであった。同様に希少価値の高いエジプトの香油は、美容に用いるだけではなく神への供物であり、王の副葬品でもあった。
収蔵作品のご紹介:コア・グラス香油瓶
(紀元前2世紀~紀元後1世紀頃|出土地:エジプト)
深い緑色のガラス素地に黄色いガラス紐を巻き付けて、下から上に向かって引っ掻いて波状文様を施している。古代エジプト発祥のアラバスターを削り出した器の形状に由来する「アラバストロン」と呼ばれる形の香油瓶。
収蔵作品のご紹介:トンボ玉」
(紀元前6~紀元前5世紀|フェニキア)
「眼」をイメージしてビーズが作られ始めたのは、古代エジプト時代のことである。中世イスラムの世界では、世の中の悪を「邪悪の眼」として信じ恐れる風習があり、身の安全の願いを込めた御守りでもあった。
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収蔵作品のご紹介:キャンデラブラム
(1877年|ヴェネチア|サルヴィアーティ工房|ジュゼッペ・バロヴィエール)
作高さ約1メートルにも及ぶ、ガラス製の大型多枝燭台。下部の台座部分と、何本もの枝が差し込まれる上部の受け皿の部分は、多色のガラス片により着彩。脚部中央には緑色の2頭の龍が装飾されている。また、うねるように伸び上がる枝は、金属の棒を芯にして、そこに長さ1.5cm程の管状のガラスをいくつも通すことにより、このような動きを可能にしている。その先に取り付けられた色とりどりの花の中心に蝋燭が立てられるような仕組みになっている。
収蔵作品のご紹介:グッゲンハイム坏
(1875年|ヴェネチア|サルヴィアーティ工房 ジュゼッペ・バロヴィエール作)
商人ミケランジェロ・グッゲンハイムの所有していた作品を参考に制作された装飾杯であったため、「グッゲンハイム」という名前が付けられた。中空の球体の間に三方向から紐状のガラスを挟み込んで、四段に重ねた脚部が特徴的である。
最初イシドーロ・セグーゾが複製に成功し、その後ジュゼッペ・バロヴィエールも制作に成功しており、二人がこの作品の複製に挑戦した記事が、ムラーノ島の新聞「ラ・ヴォーチェ・ディ・ムラーノ」に掲載された。
収蔵作品のご紹介:ミルフィオリ・グラス・ランプ
(1910年頃)
黒を中心に赤や黄色の花や葉などの模様を組み合わせて作られたミルフィオリ・グラスのランプ。アール・ヌーヴォーの影響を受け、植物をモチーフにしたフレームに、卵型のランプシェードがつけられています。
収蔵作品のご紹介:花装飾キャンデラブラム
(19世紀)
六本枝のキャンドルソケットを持つキャンデラブラム(多枝燭台)。無色透明のクリスタル・グラスとブルーの縁取りを基本に、赤・青・ピンク・黄などの原色で花の装飾が施されています。食卓の中央やマントルピースの上などに飾られ、室内を華やかに演出しました。
収蔵作品のご紹介:花鳥装飾脚ゴブレット
(1870年頃|ヴェネチア)
サルヴィアーティ工房が1860年代末から70年代にかけて制作した鳥脚シリーズのゴブレットの1点。花縄の環の中に鳥が止まり、環の外側に華やかさを作り出すひれ飾りを施し、その下部には中空のバラスター・ステムを付けている。
レース・グラス玉脚コンポート
(16世紀末~17世紀初|ヴェネチア)
直線レース棒と縄目レース棒を交互に組み合わせたレース・グラスのコンポートで、開口部に広い鍔が作られている点に特色がある。鍔広の開口部は、中に少量の珍味を入れる形式であるから、シュリンプ・カクテルや海鮮珍味を入れる器として作られたものであろうと考えられる。
収蔵作品のご紹介:龍装飾コンポート
(1880年頃|ヴェネチア)
19世紀を代表するサルヴィアーティ工房の作品で、海棲シリーズと呼ばれる中の一つです。坏の両脇に龍の装飾がつけられ、全体にはモールと呼ばれる稜線模様が入っています。
現代のヴェネチアン・グラスにドルフィンやドラゴン(龍の落し子)などの装飾が多く使われているのは、サルヴィアーティ工房のこのシリーズに由来しています。
収蔵作品のご紹介:人物行列文壷
(1500年頃|ヴェネチア )
球形の胴部に、円錐形の首部、胴と一体化した高台部からなるコバルト・ブルーの小壷。上下部に点彩と金彩で縁どりを施し、胴部には白馬にまたがる天使や、イタリア・ルネサンス時代のコスチュームを纏った人々の行列が描かれている。
15世紀末頃より、エナメル彩技法の作品には人物表現が導入されるようになったが、この様な小壷に描いたものは珍しい。
収蔵作品のご紹介:レース・グラス角型酒器
17世紀|ヴェネチア又はファソン・ド・ヴェニス
2種類のレース棒を使って作られた、角型のレース・グラス瓶。口には金具の栓がつけられ、背に二箇所の紐通しが作りつけられている。ワインを入れる携帯用のボトルとして使われた。 ファソン・ド・ヴェニスとは、ヴェネチア以外の国や地域で作られた、ヴェネチア様式のガラス器のこと。
収蔵作品のご紹介:FAZZOLETTO(ハンカチ)
1950年頃|ヴェネチア
二種類のレース棒を熔かし合わせて筒状に巻き取り、さらに熱を加え円盤状に拡げる。それを下向きにすると、このように、ハンカチの中央を持って吊り下げたような ひだのあるレース・グラスの鉢が出来上 がる。ヴェネチアン・グラスの伝統的技法であるレース・グラスの現代的展開として高く評価された作品。