何もかもが急速に進み、人との繋がりは希薄になり、無意味に垂れ流される情報しか受け取らない。知識を燃やして世界を燃やして、空いた場所にガラクタをいっぱい詰めこもうとしてくる。一方で、本の中身を駆使してモンターグを嘲弄するベイティー隊長を見れば、知識があればいいというのでもないわけで。クラリスのように世界を感じたり、考えたりを経ないと、人間らしく生きられない。"本"の"知識"を独り占めしないで広めること、共有すること、伝え合うこと。足で歩いて、種を蒔いて増やしていくような、地道な情報のやり取りが"人間らしく生きる"を作り出していくのかな、と思った。
#華氏451度

華氏451度読了。Firemanが消火ではなく本を燃やす仕事を表すようになった世界。本を燃やすこと自体がじっとりと嫌だけれど、"家族"もすげー嫌。同じ言葉を話して同じ家に住んでいても、気持ちが通じないならそれはひとりぼっちよりも孤独かもしれない。モンターグとろくに会話が続かないミルドレッド。ミルドレッドにとっては触れられる夫より、画面の向こうの他人"家族"の方が価値がある。なんだよ、それ。言葉の無意味さが怖い。戦争って、どこと戦ってんのよ。そういうのが何もなくて、何もないのにさらに薄っぺらいコマーシャルにかき消される。そしてある日突然死ぬ、怖い世界。
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