『黄色い家』川上未映子
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お金のもたらす狂気が、1990年代の空気感も相俟って、圧倒的に読み手に襲って来ます。特に、思考に行き詰まった主人公の畳み掛けるような自己問答には、並ならぬ切迫感が漂っています。一方で、何事も過ぎ去るのをのんびりと待っているような黄美子の頼りない姿が、対照的に頼もしくも見えて来ます。そして、登場人物たちの姿を見ながら、大した労苦もなく(今のところ)「まともな」生き方をできてしまっていることの有り難さも感じました。
600ページの大作ですが、緊張感のある文体に引き込まれたまま、猛烈な勢いで読んでしまいました。
[2023/06/30 #読書 #黄色い家 #川上未映子 #中央公論新社 ]
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