#20230501nb 日経ビジネス
時事深層
双日が打ち込む経済安保のくさび 日本の国益超えたレアアース
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世界のレアアース需要は中国が7割と圧倒的だが、日本も1割を占める世界2位。「レアアースを原料とする産業が発達しているのは中国以外では日本くらい」。ネオジム磁石の世界シェアの推計では、日本勢が約15%を握る。中国は80%強だ。
信越化学工業やプロテリアル(旧日立金属)など日本メーカーにはレアアースの添加を含む合金製造ノウハウがあるが、欧米には乏しい。
米国は自国でのレアアースの鉱山開発を進めているが、分離・精製では中国に依存しており、中国政府の禁輸に向けた動きは打撃になる可能性もある。
日本メーカーは磁石を欧米にも輸出している。今回の権益取得は欧米の経済安全保障にとっても恩恵となり、日本の存在感が高まることになる。
今回の権益は日本の国内需要の3割程度の量にとどまる。調達先の多角化をさらに推し進めるには欧米とも協調した取り組みが必要だ。
#20230501nb 日経ビジネス
時事深層
双日が打ち込む経済安保のくさび 日本の国益超えたレアアース
双日とエネルギー・金属物質資源機構(JOGMEC)がレアアース(希土類)の権益を取得した。日本勢初の「重希土類」と呼ばれる鉱物の権益で、電気自動車(EV)のモーター用磁石に使う。
中国がレアアース関連技術の輸出禁止に動く中、日本のみならず欧米の経済安全保障でも大きなくさびとなる。
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双日とJOGMECは #202303m 、共同で設立した日豪レアアースを通して、レアアース大手の豪・ライナスに約2億豪ドル(約180億円)を出資すると発表した。
ライナスが保有する豪州西部マウント・ウェルド鉱山で生産するジスプロシウムやテルビウムといった重希土類について、最大65%を日本向けに供給する契約を結んだ。
重希土類が含まれる鉱石は豪州からマレーシアに輸出。同国工場で元素を分離・精製し純度を上げる。その後、日本に出荷し磁石メーカーなどが製造工程で添加剤として使う。用途の約半分は磁石だ。
#20230501nb 日経ビジネス
世界鳥瞰
破綻の穴埋め、どこまで関与?
「SVB騒動」はFRBの緊急融資枠発動で一旦落ち着いたが、預金保護のあり方に向けた議論はこれからだ。
預金保護の上限設定を上げればいいとの意見もあるが、銀行に寛容な姿勢を示すと規律が乱れるリスクもある。デジタル通貨などの新技術の普及が資金フローを明確にするため、政府の関与を明示すべしとの声もある。
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銀行は元々不安定な存在だ。預金は求められた場合、即座に払い戻されなければならないが、住宅ローンや企業融資など、長期かつ流動性の低い資産に変えられ保有されている。
このミスマッチが何らかの誤解をきっかけに取り付け騒ぎが起こる危険性につながっている。いくら経営がうまくいっていたとしてもだ。
銀行システムは脆弱なだけでなく、破綻した時の影響も甚大だ。取り付け騒ぎは伝染しやすく、時に信用危機や景気後退をもたらす。
#20230501nb 日経ビジネス
グローバルインテリジェンス
ゲームの経済学 熱中がイノベーションを生む
天野友道(米ハーバード経営大学院助教授)
授業で議論を盛り上げるには、議論の展開に学生が貢献できた、と実感しながら熱中できることが大切だ。議論の不確実性がもたらす「熱中」のメカニズムが、組織におけるイノベーションにも応用できるのだという。
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経営者の使命として社員の「熱中」を促す
イノベーションを促す3つの鍵
①「成功」の定義
イノベーションが生まれるプロセスには真の不確実性と、見かけの不確実性が混在している。まずはイノベーションの「成功」の姿を定義することで、その環境における不確実性と向き合い始めることができる。
②バックキャスト
定義したイノベーションの成功の姿からのバックキャストで、人材やリソースで制御し得る部分が何なのかを思索できる。必要な人材やリソースを特定し、人材のスキルで「制御し得る」不確実性であることを示す。
③経営者の役割
このように、経営者は、不確実性を優位な方向に導くための環境づくりこそが使命なのだと再認識する。
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